はじめに
前回のレンタルサーバー移行のブログ記事に続いて、
とある組織のドメインおよびレンタルサーバーの、BUSINESSぷららから、さくらのレンタルサーバーへの移行を支援する機会がありました。
※BUSINESSぷららのサービス提供終了を受けた移行でした。
・BUSINESSぷらら
https://biz.plala.or.jp/
移行にあたって工夫したことと、発生した不具合をまとめます。
レンタルサーバーの移行と不具合
移行方針
今回は、いろいろな条件(*1)を鑑みて、一般的なレンタルサーバーの移行(引っ越し)手順どおり、移行を実施しました。
- ドメインの移行
- 移行先サーバーでWebデータをアップロード、メールアドレス設定
- ネームサーバーの切り替え(それとともに、Webサーバーとメールサーバーが切り替わる)
(参考)
・さくらのレンタルサーバーヘルプ サーバー移転ガイド(他社サービスから引越ししたい)
https://help.sakura.ad.jp/purpose_beginner/2591/
(*1)
前回の記事の大塚商会アルファメールからの移行と同様、
今回も「移行元のDNSゾーン情報は取得できない」(*2)という懸念点があり、
「DNSゾーン情報をそのまま移行して、ネームサーバーのみ切り替える
→ その後、DNSレコードの書き換えでWebとメールを切り替える」
という手順は断念しました。
(*2)
BUSINESSぷららの仕様で、DNSレコード設定は可能であるものの、AレコードやCNAMEレコード、SPFレコード(IPアドレスのみ)のみ登録可能で、また、ユーザーが設定した以外のレコードは参照できませんでした。
BUSINESSぷららのDNSレコードは、NSレコードもそれ以外のレコードも、TTLは 86400(=24時間)でした。
このため、ネームサーバーの切り替えでDNSが浸透し、Webサーバーとメールサーバーが完全に切り替わるまでは24時間から48時間程度要することを想定しました。
工夫した点
ネームサーバーの切り替えにあたり、工夫した点は以下の4つです。
- BUSINESSぷららのDNS SPFレコードに、さくらのレンタルサーバーのIPアドレスを追記。
- さくらのレンタルサーバーのDNSで、BUSINESSぷららのDKIMレコードを追加。
- さくらレンタルサーバー側では、当初はDKIMなしのまま、SPFとDMARCのみ設定して、ネームサーバーを切り替え。DNS浸透後にDKIMを設定。
- メールユーザーのメールソフト設定では、BUSINESSぷらら用とは別に、さくらのレンタルサーバー用の新しいアカウントを作成していただく。
- pop, smtp, imap といった、メールソフト設定で使用しそうなサブドメインの存在を確認。
1.
DNS浸透待ちの間、さくらのレンタルサーバーから送信するメールに対して、宛先のメールサーバーでのSPF認証の際、そのメールサーバーがBUSINESSぷららのDNSからSPFレコードを取得してチェックする可能性があるため。
幸い、BUSINESSぷららの管理画面で、SPFレコード用のIPアドレスを登録できる機能がありました。
2.
DNS浸透待ちの間、BUSINESSぷららから送信するメールには、BUSINESSぷららでDKIM署名されます。
宛先のメールサーバーでDKIM認証を実施する際、そのメールサーバーがさくらのレンタルサーバーのDNSからDKIMレコードを取得してチェックする可能性があるため。
BUSINESSぷららの管理画面ではDKIMレコードやセレクタがわからなかったのですが、過去に該当ドメインから受信したメールのヘッダー情報でセレクタを確認し、そこからdigコマンドでDKIMレコードの値を確認、取得してDNSに登録しました。
3.
さくらのレンタルサーバーで、新しいセレクタでDKIMを設定して、さくらのレンタルサーバーからメールを送信する場合、さくらでDKIM署名されます。
DNS浸透待ちの間、宛先のメールサーバーでDKIM認証を実施する際、BUSINESSぷららのDNSからDKIMレコードを取得しようとしてしまうと、BUSINESSぷららのDNSには、さくらで設定した新しいセレクタのDKIMレコードが存在しないため、DKIM認証が「Fail(失敗)」となってしまいます。
(BUSINESSぷららの管理画面では、DKIMレコードの手動登録は不可。)
このような事態が発生しないよう、DNSの浸透を待ち、BUSINESSぷららのDNSが参照されない状態となってから、さくらレンタルサーバーで、新しいセレクタでDKIMを設定しました。
なお、DMARCレコードは、BUSINESSぷららのDNSと同じレコードをさくらのレンタルサーバーにも設定していました。
これは、DMARC認証は、「SPF認証 Pass、DKIM認証なし」という状態でも Pass となる仕様のためです。
4.
DNS浸透待ちの間に、BUSINESSぷららに届く受信メールも、さくらのレンタルサーバーに届く受信メールも、どちらも参照できるようにするため。
5.
前回の記事の移行で発生した、メールソフトの接続先メールサーバーとして、独自ドメインのサブドメインを設定していたことで、メールソフトの不具合が発生した問題への対処。
今回は、pop, imap, smtp のようなサブドメインは存在していませんでした。
発生した不具合
いろいろ考慮して今回はこれで万全、、と思っていたのですが、
ネームサーバーの切り替えを実施した数時間後、前回の移行と同様、
「一部ユーザーのメールソフトで、BUSINESSぷららのメールボックスへの接続エラー」
という問題が発生しました。
調査したところ、メールソフトのメールサーバー指定で、ドメインルート(ネイキッドドメイン)を設定しているユーザーが存在しました。
マニュアルでも「暗号化なし」のメールソフト設定では、「ネイキッドドメイン または サーバーのIPアドレス」を指定するよう記載があったのです。
(参考)
・BUSINESSぷららオンラインマニュアル 電子メール設定
http://ex.secure-service.net/hosting/standard-p/mail/instruction.html
ネイキッドドメインはWebサイトで使用しており、さくらのDNSでは、AレコードはさくらのサーバーのIPアドレスをさしているため、BUSINESSぷらら用のメールアカウントが、BUSINESSぷららのメールサーバーではなく、さくらのメールサーバーに接続して認証エラーとなってしまいます。
対処としては、メールソフトのBUSINESSぷらら用のメールアカウントのメールサーバー指定では、ネイキッドドメインの代わりに、BUSINESSぷららのメールサーバーのIPアドレスに変更していただくよう、お伝えしました。
(事前にお伝えするべきでした。)
BUSINESSぷららのオンラインマニュアルはチェックしたはずですが、見落としていたのが失敗でした。
レンタルサーバーの移行で忘れがちな、重要なポイント。
- 移行前のレンタルサーバーのDNSレコード情報を参照できるかどうか、確認する。参照できない場合は、移行時に不具合が発生しないよう、十分対策を検討する。
- 移行前のレンタルサーバーのメールソフト設定方法を確認する。
それにしても、またまた、「暗号化なし」のメールソフト設定です。。
メールソフトのメール送受信設定は、「暗号化あり」で設定するよう、十分ご注意ください。
