新サービスIDCFクラウド~従来の「IDCフロンティアセルフクラウド」との違い
2014年10月15日、IDCフロンティアのIaaSサービスが全面的に刷新され、新しく「IDCFクラウド」がリリースされました。
(参考)IDCフロンティア、よりパワフルな新クラウドサービス「IDCFクラウド」を提供開始 – CNET Japan
https://japan.cnet.com/release/30083616/
新サービスIDCFクラウドの特徴は次のとおりだそうです(ニュースリリースより)。
- 世界最速クラス、サーバーの並列作成時間は1台約2秒。
- 国内クラウド初採用、ioMemoryと40コアCPU/128GBメモリ搭載タイプの提供。
- 国内最安、月額500円の利用プランと従来比28~65%の大幅な料金引き下げ。
- 国内初、はてな社のクラウドパフォーマンス管理サービス「Mackerel」(マカレル)に対応。
- セルフサービスポータルを自社開発し洗練されたUIを提供。
IDCFクラウドを使ってみて、従来のサービス「IDCフロンティアセルフクラウド」との違いや注意点、従来のサービスからのサーバー移行についてまとめます。
なお、IDCFクラウドは現在、サービスリリース記念のキャンペーンで、2014年11月14日(金)17:00までの申し込みで、1万円分無料で使えるクーポンがもらえます。
申し込みは以下のページより行います。
IDCFクラウドのお申し込み
http://www.idcf.jp/cloud/order.html
従来のサービスとの違い
新サービスIDCFクラウドと従来のサービス「IDCフロンティアセルフクラウド」との違いについて、気づいた点をいくつかあげます。
・サーバー作成が速い。
これが一番メリットのある違いだと思います。
サーバータイプS2, CentOS 6.5の場合、管理コンソールで「作成」ボタンを押してから、OSが起動完了するまで、40秒から50秒程度となりました。
スペックのよいサーバータイプであればもっと速いかもしれません。
これはAWSよりも速く、僕が一番速いと感じているGoogle Compute Engineに次ぐ速さだと思います。
従来は、仮想ルーターも含めて新規作成する場合は15分から20分、仮想ルーターが作成済みでも、3分から5分程度は要していたと思います。
・管理コンソールがすごく使いやすくなった。
従来の管理コンソールはIaaS基盤ソフトCloudStackのものをベースにした見栄えだったのですが、直感的にストレスなく操作できるようになりました。
細かいところでいうと、ファイアウォールのSource IPの設定で、AWSのように「MyIP」の選択で、現在アクセスしているPCが使用しているグローバルIPアドレスを自動的にセットできるようになったのがうれしいです。
・管理コンソールで指定したホスト名がOSのホスト名にセットされるようになった。
地味な機能ですけど、ホスト名を変更するひと手間が不要となりました。
・仮想マシン停止時の料金は無料。
従来も「キャンペーン期間中」ということで無料でしたが、正式に無料となりました。
AWSと同じ仕様で、開発環境など、夜間休日は停止していてもよい場合などに便利ですね。
ただし、有償テンプレートの場合の使用料やディスクの料金は発生します。
・コストパフォーマンスが大幅にアップした。
従来の同じCPU数、メモリのサーバータイプで比べると、料金が大幅に下がりました。
また、ベンチマークをとってみたところ、CPU性能、ディスク性能がアップしたことがわかりました。
つまり、コストパフォーマンスが大幅にアップしました。
従来のサービスでも、他のIaaSと比べて安価で性能がよいと感じていましたが、コストパフォーマンスに関してはさらに優位性を増したといえます。
ベンチマークの結果は、以下の記事を参照してください。
・新サービスIDCFクラウドのベンチマーク~IDCF従来のサービスやニフティクラウドType-eとの比較
https://inaba-serverdesign.jp/blog/20141031/idcfcloud_benchmark_vs_nifty.html
注意点
新サービスIDCFクラウドを使うにあたり、次の点に注意が必要です。
・サーバータイプS2の性能があまりよくない。
ベンチマークの記事でも書きましたが、サーバータイプS2はLightプランに含められ、公表CPUクロックが1.6GHzから0.8GHzと下がったこともあり、CPU性能、ディスク性能とも従来よりも落ちてしまいました。
このため、僕は、従来はS2で想定していたケースでは、新サービスではS4を選択するようにするつもりです。
従来のS2と比べても料金が下がりますし、性能もよいです。
もちろん、WebサイトやアプリケーションをS2に載せてみても問題ないようでしたら、S2のままでもよいでしょう。
・CentOS 6系をもとに作成したマイテンプレートから仮想マシンを作成する場合、ネットワークインタフェースの設定変更が必要。
従来のサービスで発生していた問題で、この設定変更を行わないと、ネットワーク経由では一切アクセスできず、スタンドアロン状態となります。
VMwareとCentOS 6の相性の問題だそうで、残念ながら新サービスでも解決されていませんでした。
(参考)CentOS6系で作成されたマイテンプレートから仮想マシンを作成する際の注意点は?
http://www.idcf.jp/cloud/faq/sna_008.html
具体的な対処方法は次の記事が詳しいです。
コンソールでサーバーにログインし、/etc/udev/rules.d/70-persistent-net.rules を編集して、OSを再起動すると復旧します。
(参考)VMwareで「Device eth0 does not seem to be present, delaying initialization」と表示された時の対処法 その2
http://www.linuxmaster.jp/linux_blog/2011/09/vmwaredevice-eth0-does-not-seem-to-be-present-delaying-initialization.html
これはサーバーを複製するときだけではなく、スナップショットからサーバーを復旧する場合にも必要となる操作です。
本番環境でCentOS 6系のサーバーを使用する場合は、いざというときに慌てないよう手順を確認しておくとよいでしょう。
(2014.11.10追記)
この問題は、CentOS 7のテンプレートをカスタマイズしたマイテンプレートでは発生しません。
IDCFクラウドを利用する場合は、CentOS 6ではなくCentOS 7を使用したほうがよいかもしれません。
CentOS 7/RHEL 7はsystemdなど大きな変更もありますが、いずれデフォルトになりますので。
・アカウントは従来のサービスとは別。
従来のサービスのアカウントがそのまま引き継がれないので、新サービスIDCFクラウドで新しくアカウントを作り直す必要があります。
アカウント名は、新サービスで重複していなければ同じものが使用できます。
この点は従来サービスのユーザーに少し不便を強いるところですが、性能の向上や今後の新機能追加に向けて必要なことだったのだろうと考えます。
従来のサービスからのサーバー移行
従来のサービスのサーバーを新サービスIDCFクラウドに移行する方法については、FAQに「既存の仮想マシンからテンプレート作成し、IDCFクラウドの新しいアカウントへテンプレートのインポートを行ってください。」という記載があります。
(参考)よくあるご質問 2014年10月以前から利用しているIDCフロンティアのセルフクラウドから、IDCFクラウドへ移行できますか?
http://www.idcf.jp/cloud/faq/gen_017.html
具体的には次の手順となります。
- (従来のサービス)該当のボリュームからスナップショットを作成
- (従来のサービス)スナップショットからテンプレートを作成
- (従来のサービス)テンプレートの「エクスポート」を実行し、表示されるURLをメモする
- (新サービス)「テンプレート作成」で、3.で表示されたURLを入力して作成実行
4.のところでURLを入力する際、3.で表示されたURLの「https://」を「http://」に変更して入力する必要があります。
また、ルートディスクコントローラ、NICアダプタは「auto」を選択するとよいでしょう。
なお、移行したテンプレートがCentOS 6の場合は、仮想マシン作成時に先述の「ネットワークインタフェースの設定変更」が必要です。
まとめ
新サービスIDCFクラウドを使ってみて、従来のサービスとの違いや注意点、サーバーの移行方法について記載しました。
従来のサービスからアカウントを引き継がなかったことについては驚きがありました。
ですが、コストパフォーマンスが大幅にアップしていますし、「機能拡張スピードを加速する」とのことで、公表されているCDNやRDSのリリースが楽しみです。
興味のある方は無料キャンペーン期間中に試してみるとよいと思います。
(関連記事)
・新サービスIDCFクラウドのベンチマーク~IDCF従来のサービスやニフティクラウドType-eとの比較
https://inaba-serverdesign.jp/blog/20141031/idcfcloud_benchmark_vs_nifty.html