Amazon Lightsailのベンチマーク

AWSより、新しくVPSサービス「Amazon Lightsail」がリリースされました。

・Amazon Lightsail ? AWSの力、VPSの簡単さ
https://aws.amazon.com/jp/blogs/news/amazon-lightsail-the-power-of-aws-the-simplicity-of-a-vps/

EC2に比べて、初期構築が簡単、データ転送量も含めた課金体系となっている、といった特徴がありますが、機能面や料金はひとまず置いといて、まずはベンチマークテストを行ってサーバー性能を確認してみました。

なお、ベンチマークテストの結果およびサーバーの料金は、2016年12月上旬時点のものです。
性能や料金は変動する可能性がありますので、ご注意ください。

isdベンチマークテストの条件

ベンチマークテストの条件は次のとおりです。

  • 計測日は2016年12月2日
  • ベンチマーク計測対象のサーバーは、現在用意されている5つの料金タイプのサーバー。
  • 現在、米国東部(バージニア北部)のみの提供のため、us-east-1bゾーンで計測。
  • インスタンスイメージは、アプリケーションを含まない「Base OS」の「Amazon Linux 2016.09.0」。
  • ベンチマークツールは、サーバー(CPU)性能計測のunixbench、ディスク性能計測のdbench
  • サーバーは新規起動後、ベンチマークテストの実施に必要な最低限の設定を行い、Apache, MySQL等のアプリケーション向けサービスはインストールしない。
  • テスト終了後は、各サーバーでOSを再起動して、性能のばらつきがないか確認するため、もう一度同じテストを行った(これについては後述)。

isdベンチマークテストの結果

サーバー性能(CPU性能)unixbenchの結果

unixbenchは、unixbench Indexテストのスコアを掲載します。

サーバー 月額料金(税抜) single cpu 
index score 
multi cpu 
index score 
Lightsail 8GB RAM, 2vCPU  $80 1536.1 2812.5
Lightsail 4GB RAM, 2vCPU  $40 1480.8 2722.1
Lightsail 2GB RAM, 1vCPU  $20 1903.5
Lightsail 1GB RAM, 1vCPU  $10 1951.4
Lightsail 512MB RAM, 1vCPU  $5 2013.8

 

グラフはこちら。


 

ディスク性能 dbenchの結果

dbenchは、同時接続1と4で10分間計測し、スループット値(MB/sec)と、参考までに最大レイテンシ(msec)を掲載します。

  • スループット(MB/sec)
サーバー 月額料金(税抜) 同時実行1  同時実行4 
Lightsail 8GB RAM, 2vCPU  $80 148.210 465.767
Lightsail 4GB RAM, 2vCPU  $40 175.585 504.695
Lightsail 2GB RAM, 1vCPU  $20 152.203 387.569
Lightsail 1GB RAM, 1vCPU  $10 157.154 406.249
Lightsail 512MB RAM, 1vCPU  $5 188.283 470.847

 

グラフはこちら。


 

  • 最大レイテンシ(msec)
サーバー 月額料金(税抜) 同時実行1  同時実行4 
Lightsail 8GB RAM, 2vCPU  $80 183.860 191.394
Lightsail 4GB RAM, 2vCPU  $40 31.425 156.444
Lightsail 2GB RAM, 1vCPU  $20 485.450 460.640
Lightsail 1GB RAM, 1vCPU  $10 213.853 216.343
Lightsail 512MB RAM, 1vCPU  $5 163.683 219.167

 

グラフはこちら。


 

考察

おおむね、サーバースペックに相応しい値となっています。
一般的なWebサーバーを稼働させるには十分ではないでしょうか。

isdEC2 t2インスタンスとの比較

Lightsailだけのベンチマークテスト結果を見ても少しわかりにくいので、以前計測したEC2 t2インスタンスの同スペックサーバーの結果と比較してみます。
比較するのは、手元に計測結果データが残っている以下のEC2 t2インスタンスです。

  • t2.nano(2016年8月に計測、ap-northeast-1cゾーン、ディスクSSD 8GB)
  • t2.small(2016年9月に計測、ap-northeast-1cゾーン、ディスクSSD 8GB)
  • t2.medium(2016年9月に計測、ap-northeast-1cゾーン、ディスクSSD 8GB)

サーバー性能(CPU性能)unixbenchのEC2 t2との比較

サーバー single cpu 
index score 
multi cpu 
index score 
Lightsail 4GB RAM, 2vCPU  1480.8 2722.1
EC2 t2.medium 4GB RAM, 2vCPU  1502.4 2781.2
Lightsail 2GB RAM, 1vCPU  1903.5
EC2 t2.small 2GB RAM, 1vCPU  1866.4
Lightsail 512MB RAM, 1vCPU  2013.8
EC2 t2.nano 0.5GB RAM, 1vCPU  2085.8

 

グラフはこちら。


 

ディスク性能 dbenchのEC2 t2との比較

  • スループット(MB/sec)
サーバー 同時実行1  同時実行4 
Lightsail 4GB RAM, 2vCPU  175.585 504.695
EC2 t2.medium 4GB RAM, 2vCPU  139.753 313.355
Lightsail 2GB RAM, 1vCPU  152.203 387.569
EC2 t2.small 2GB RAM, 1vCPU  138.167 282.740
Lightsail 512MB RAM, 1vCPU  188.283 470.847
EC2 t2.nano 0.5GB RAM, 1vCPU  183.128 452.624

 

グラフはこちら。


 

  • 最大レイテンシ(msec)
サーバー 同時実行1  同時実行4 
Lightsail 4GB RAM, 2vCPU  31.425 156.444
EC2 t2.medium 4GB RAM, 2vCPU  23.571 597.892
Lightsail 2GB RAM, 1vCPU  485.450 460.640
EC2 t2.small 2GB RAM, 1vCPU  100.610 665.913
Lightsail 512MB RAM, 1vCPU  163.683 219.167
EC2 t2.nano 0.5GB RAM, 1vCPU  30.883 214.625

 

グラフはこちら。


 

考察

EC2 t2とLightsailの、CPU数とメモリサイズが同じインスタンスの結果を比べると、unixbenchはほぼ同じです。
dbenchは、Lightsailのほうが少しよい値となっています。

テスト時期、リージョンとディスクサイズの違いはありますが、EC2 t2とLightsailの同じスペックのインスタンスは、ほぼ同じ性能といえるのではないでしょうか。

isdベンチマークテスト1,2回目の違い

今回のテストでは、
1回目: dbench同時実行1 → dbench同時実行4 → unixbench single cpu → (2vCPUのみ)unixbench multi cpu
の順で実行し、その後、OSを再起動してから同じ順序で再実行しました。
2回目: dbench同時実行1 → dbench同時実行4 → unixbench single cpu → (2vCPUのみ)unixbench multi cpu

1回目と2回目のテスト結果の違いを確認します。

サーバー性能(CPU性能)unixbenchの1,2回目の結果

unixbenchは、unixbench Indexテストのスコアを掲載します。

サーバー 月額料金(税抜) single cpu 
index score 
1回目 → 2回目 
multi cpu 
index score 
1回目 → 2回目 
Lightsail 8GB RAM, 2vCPU  $80 1536.1 → 1538.0 2812.5 → 2749.0
Lightsail 4GB RAM, 2vCPU  $40  1480.8 → 1399.7  2722.1 → 811.9
Lightsail 2GB RAM, 1vCPU  $20  1903.5 → 1662.6  -
Lightsail 1GB RAM, 1vCPU  $10  1951.4 → 393.1  -
Lightsail 512MB RAM, 1vCPU  $5  2013.8 → 135.2  -

 

ディスク性能 dbenchの1,2回目の結果

  • スループット(MB/sec)
サーバー 月額料金(税抜) 同時実行1 
1回目 → 2回目 
同時実行4 
1回目 → 2回目 
Lightsail 8GB RAM, 2vCPU  $80  148.210 → 152.479  465.767 → 469.121
Lightsail 4GB RAM, 2vCPU  $40  175.585 → 173.593  504.695 → 503.360
Lightsail 2GB RAM, 1vCPU  $20  152.203 → 156.579  387.569 → 397.877
Lightsail 1GB RAM, 1vCPU  $10  157.154 → 159.110  406.249 → 407.937
Lightsail 512MB RAM, 1vCPU  $5  188.283 → 183.859  470.847 → 287.596

 

  • 最大レイテンシ(msec)
サーバー 月額料金(税抜) 同時実行1 
1回目 → 2回目 
同時実行4 
1回目 → 2回目 
Lightsail 8GB RAM, 2vCPU  $80  183.860 → 278.995  191.394 → 159.176
Lightsail 4GB RAM, 2vCPU  $40  31.425 → 28.409  156.444 → 152.434
Lightsail 2GB RAM, 1vCPU  $20  485.450 → 412.528  460.640 → 278.502
Lightsail 1GB RAM, 1vCPU  $10  213.853 → 212.329  216.343 → 216.747
Lightsail 512MB RAM, 1vCPU  $5  163.683 → 33.890  219.167 → 208.619

 

考察

unixbenchは、「8GB RAM, 2vCPU」は2回目もほぼ同じ値ですが、サーバースペックが下がるにつれて、2回目のスコアの落ち込みが大きくなっています。
この結果から、
「Lightsailは、EC2 t2シリーズのような、CPUクレジット&バーストの制限があるのではないか。」
「サーバースペックが低いほどCPUクレジットも少ないのではないか。」
と推測しました。

先に比較したとおり、ベンチマークテストの結果も同スペックのEC2 t2インスタンスの結果と似ているので、そもそもLightsailインスタンスはEC2 t2インスタンス上で稼働しているのかもしれませんね。
(サーバーの起動がすごく速いので、コンテナかも。。。)

dbenchのほうは、「512MB RAM, 1vCPU」の同時実行4のみ、2回目の値が落ち込んでいます。
これは、dbenchのディスクアクセステストでもCPU性能が少しだけ影響するからだと思われます。

isdまとめ

AWSからリリースされたVPSサービス「Amazon Lightsail」のサーバーに対してベンチマークテストを行い、サーバー性能を確認しました。
また、従来のサーバーサービスであるEC2 t2インスタンスとの比較を行いました。

CPU性能、ディスク性能は、EC2 t2インスタンスの同スペックのサーバーとほぼ同じで、性能面については、1vCPUまたは2vCPUクラスの一般的なWebサーバー用途としては問題なく使用できるといえます。

ただし、ベンチマークテストを連続実行して負荷をかけつづけると、EC2 t2インスタンスと同様に性能の低下が見られました。
長時間連続してCPUパワーを必要とするケースには向いていないと思います。

※あくまでも、2016年12月時点の見解です。

今後、LightsailとEC2の違いについて調査してまとめようと思います。
 

(関連記事)
・Amazon LightsailのEC2との違いなど
https://inaba-serverdesign.jp/blog/20161216/amazon_lightsail_ec2.html

・IaaSクラウドサーバーのベンチマーク(2016年9月版)
https://inaba-serverdesign.jp/blog/20160921/iaas_cloud_benchmark_201609.html

・500円クラウドのベンチマーク
https://inaba-serverdesign.jp/blog/20160809/500yen_cloud.html
 

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