先週、北大学術交流会館で開催されたオープンクラウドカンファレンス2014に参加しました。
今年は3日間の開催で、僕は9月2日(火)、9月4日(木)の午後のセッションに参加(受講)しました。
Cloud Week 2014@Hokkaido University
http://www.iic.hokudai.ac.jp/kyodo_kenkyu/cloud-week-2014/
個人的に最も注目していたのは、グーグル佐藤一憲さんによる「Google Cloud Platform最新動向」です。
グーグルの中の方のクラウドまわりの発表を見るのは初めてで、とても興味深い内容でした。
以下、「Google Cloud Platform最新動向」発表内容のメモ書きです。
- Google BigQuery
- Googleの検索サービスのロジックを利用した高速検索サービス。
- 常に1,500台から2,000台のサーバーを使用してデータをフルスキャンする。
- 一般的に、1TBのデータを1秒で検索するには5,000台のディスクが必要。
- Androidアプリの480億件のダウンロードレコードからトップ20リストを20秒で出力する。
- 課金はデータ量とクエリ回数。
- 1TBのデータで、約2,600円/月
- 10GBのクエリーデータ処理で、約5円/回
- 事例
- セブンネットショッピング
- Fluentdとの連携
- fluent-plugin-bigqueryで、リアルタイムでGoogle BigQueryにインポートできる。
- Google Compute Engine
- Iaas
- サーバーインスタンスの起動が速い
- 20秒から40秒で起動。
- インスタンスタイプごとの起動速度、性能のバラツキが少ない。
- 仮想サーバーはコンテナで動作。
- (Q&Aにて)Compute Engine, BigQuery, App Engineなど、すべてのサービスでサーバーハードウェアやネットワークを共有しているからバラツキが少ないのかも。
- ロードバランサー
- Googleの各サービスと共用
- DNSを使っていないため、単一IPアドレスによるリージョン間負荷分散が可能。
- 暖気不要。
- バックエンドの負荷や可用性に応じてルーティング。
- ライブマイグレーション
- ハードウェアのメンテナンスの際など、インスタンスを瞬時(数msec)に移動。→RightScaleがPHP+MySQL Master-Slave環境でテストして全く問題なかった。
- 最新のSDNを利用。2.7Gbps
- 事例
- Zeadle社のオンラインゲーム「斬新」
- ハウスコム社の「お部屋さがし」
- Google App Engine
- クラスター構成でスケーラブルなPaaS
- コンテナ型、50msecでインスタンスが起動する。
- 事例
- 防災科学研究所「強震モニタ」
- AKB48総選挙
- 最大23,000リクエスト/秒を処理。
- Snapchat
- 3億5千万枚/日の画像を送信。
- 今後の方向性・新機能
- ‘New World’、サービスをどんどん外に出す。
- Pub/Sub
- (聞き逃したけど、Googleのサイトを見る限り)非同期のメッセージングシステム?AWSでいえばSNS?
- DataFlow
- パイプライン
Google Compute Engineの「サーバーインスタンスの起動が速い」「リージョン間での振り分けも可能なロードバランサー」「ライブマイグレーション」については、AWSに勝る部分であり、ピンポイントで推されていました。
最後に、開発者向けの「Starter Pack」として、Google Cloud Platformで、3ヶ月間$500まで利用できるプロモコードが発表されました。
既存のアカウントにも適用できるので、ありがたいですね。
これまでもちょこちょこと使い勝手を確認したりベンチマークをとったりしていますが、この3ヶ月でたくさん触ってみます。
その他、以下の発表が印象に残りました。
- IBM北瀬さんによる「パブリッククラウド動向とIBMの取り組み」
- Softlayerは物理サーバーも利用できる。ネットワークが高速で安価。
- クラウディアン太田さんによる「オブジェクトストレージのユースケース」
- オブジェクトストレージソフトCloudianのAuto-Tiering機能。オンプレミスのプライベートクラウドに保存したオブジェクトを、メタデータにより自動的にAmazon S3やGracierなどに移動する。
- IDCフロンティア大屋さんによる「MBaasでできること。IDCフロンティアのFairyについて。」
- モバイルバックエンド機能に加え、オンラインゲーム向けの新機能が追加された。
- 電通国際情報サービス渥美さんによる「クラウドが変えるビジネス, ヒト, 世界」
- これから求められるITエンジニア像。「コンシェルジュ」「IT素養」「応用力」「総合力」。より顧客視点、ビジネス視点を持つことが必要。
オープンクラウドカンファレンスは3年連続で参加していますが、クラウドにまつわるベンダー、コンサル、ユーザーなどさまざまな立場の方の発表があり、とても勉強になります。
来年もほぼ同じ時期の開催を検討しているとのことで、また参加したいと思います。