IDCFクラウド西日本リージョンのベンチマーク
2015年11月、IDCFクラウドより、西日本リージョン提供開始の発表がありました。
・プレスリリース 「IDCFクラウド」にオールフラッシュを採用しI/O性能を約2倍に向上
http://www.idcf.jp/pressrelease/2015/20151110001.html
「オールフラッシュストレージを採用しI/O性能を従来比の約2倍(最大約40倍)高速化」ということで、ディスクベンチマークテストを行ってみました。
せっかくなので、東日本リージョンの4つのゾーンでも同じベンチマークテストを行い、比較してみます。
ベンチマークテストの基本的な条件
- ゾーンは、東日本リージョンtesla, pascal, henry, jouleと西日本リージョンaugustaの計5つ
- 仮想マシンタイプは、S2(1.6GHz x 1vCPU, メモリ2GB)とM4(2.6GHz x 2vCPU, メモリ4GB)の2つ
- サーバーOSは、CentOS 6.6 (64bit)
- ディスクは標準ディスク15GBのみ
- ベンチマークツールは、サーバー(CPU)性能計測のunixbench、ディスク性能計測のdbench
- 計測日は2015年12月14日
ベンチマークテストの結果
サーバー性能(CPU性能)unixbenchの計測結果
値はunixbench index scoreです。
・S2(1.6GHz x 1vCPU, メモリ2GB)の結果
仮想マシンタイプ、ゾーン | single cpu |
S2 東日本teslaゾーン | 949.7 |
S2 東日本pascalゾーン | 942.4 |
S2 東日本henryゾーン | 911.4 |
S2 東日本jouleゾーン | 965.4 |
S2 西日本augustaゾーン | 940.8 |
グラフはこちら。
・M4(2.6GHz x 2vCPU, メモリ4GB)の結果
仮想マシンタイプ、ゾーン | single cpu | multi cpu |
M4 東日本teslaゾーン | 1497.1 | 2425.2 |
M4 東日本pascalゾーン | 1454.2 | 2397.9 |
M4 東日本henryゾーン | 1403.3 | 2371.7 |
M4 東日本jouleゾーン | 1632.0 | 2514.5 |
M4 西日本augustaゾーン | 1638.6 | 2539.2 |
グラフはこちら。
unixbench index scoreはほぼCPU性能を表すのですが、東日本henryゾーンの値が少し低いぐらいで、違いはほとんどありませんでした。
ディスク性能 dbenchの計測結果
値はスループット(MB/sec)です。
・S2(1.6GHz x 1vCPU, メモリ2GB)の結果
仮想マシンタイプ、ゾーン | dbench 1 | dbench 4 |
S2 東日本teslaゾーン | 166.239 | 266.723 |
S2 東日本pascalゾーン | 157.727 | 264.441 |
S2 東日本henryゾーン | 143.984 | 254.441 |
S2 東日本jouleゾーン | 165.399 | 273.095 |
S2 西日本augustaゾーン | 203.645 | 332.804 |
グラフはこちら。
・M4(2.6GHz x 2vCPU, メモリ4GB)の結果
仮想マシンタイプ、ゾーン | dbench 1 | dbench 4 |
M4 東日本teslaゾーン | 160.636 | 470.473 |
M4 東日本pascalゾーン | 156.143 | 429.074 |
M4 東日本henryゾーン | 126.015 | 369.089 |
M4 東日本jouleゾーン | 160.867 | 441.529 |
M4 西日本augustaゾーン | 203.645 | 515.861 |
グラフはこちら。
西日本augustaゾーンは、東日本の20%~40%ほどよい値となりました。
dbenchによるテストでは「従来比の約2倍」とはなりませんでしたが、ディスク性能がよいことは間違いありません。
東日本henryゾーンは、unixbenchと同様に、少し低い値となりました。
これは機器構成の違いによるものなのか、たまたまこの日負荷が集中していたのかはわかりません。
今どき、ユーザー数や負荷集中による性能の違い(いわゆる「ガチャ」)はないと思いますが。。
なお、レイテンシについては、仮想マシンタイプM4の東日本jouleゾーンと西日本augustaゾーンのみ抜粋すると次のとおりでした。
西日本augustaゾーンのディスクは、東日本jouleゾーンに比べて「低レイテンシ」といえます。
・M4 東日本jouleゾーン, dbench 4の結果
Operation Count AvgLat MaxLat ---------------------------------------- NTCreateX 8439502 0.019 206.525 Close 6199353 0.001 11.017 Rename 357374 0.047 29.592 Unlink 1704394 0.063 111.013 Deltree 211 5.690 19.740 Mkdir 105 0.002 0.012 Qpathinfo 7649622 0.007 40.786 Qfileinfo 1340427 0.001 5.394 Qfsinfo 1402681 0.002 5.936 Sfileinfo 687471 0.029 43.122 Find 2957538 0.014 28.048 WriteX 4207143 0.030 60.606 ReadX 13229616 0.004 34.512 LockX 27482 0.002 0.162 UnlockX 27482 0.001 0.938 Flush 591512 2.931 244.728 Throughput 441.529 MB/sec 4 clients 4 procs max_latency=244.732 ms
・M4 西日本augustaゾーン, dbench 4の結果
Operation Count AvgLat MaxLat ---------------------------------------- NTCreateX 9857262 0.022 42.364 Close 7240797 0.001 5.691 Rename 417409 0.055 17.180 Unlink 1990628 0.076 41.005 Deltree 248 5.893 26.449 Mkdir 124 0.002 0.011 Qpathinfo 8934527 0.006 29.525 Qfileinfo 1565686 0.001 3.064 Qfsinfo 1638291 0.002 5.510 Sfileinfo 802962 0.042 41.084 Find 3454321 0.014 10.566 WriteX 4914394 0.033 40.279 ReadX 15451915 0.004 28.220 LockX 32096 0.002 0.390 UnlockX 32096 0.001 0.504 Flush 690880 2.243 88.420 Throughput 515.861 MB/sec 4 clients 4 procs max_latency=88.422 ms
まとめ
IDCFクラウドの5つのゾーンで、unixbenchとdbenchを使用したベンチマークテストを行い、新設された西日本リージョンaugustaのディスク性能が他のゾーンよりもよいことがわかりました。
IDCFクラウドのディスク性能はもともと悪くありませんが、少しでもディスク性能が欲しい場合は、西日本augustaゾーンを使用するとよいでしょう。
どのゾーンを使っても料金は変わりません。
個人的には、「ディスク性能がよい」ということよりも、日本国内で、東日本(福島県白河市)と西日本(福岡県北九州市)という、地理的に大きく分散したゾーンを選択できるのはユーザーにとってメリットが大きいと思います。
なお、標準ではリージョンまたぎやゾーンまたぎのロードバランサーは用意されていないので、リージョン/ゾーン間でWebサイトを冗長化/負荷分散したい場合は、「マネージドGSLBサービス」を使用する必要があります。
・IDCFクラウド マネージドGSLBサービス
http://www.idcf.jp/network/gslb/
また、IDCFクラウドは、「仮想ルーター+プライベートネットワーク(VLAN)+固定IPアドレス1個」が1ゾーンあたり1セットぶん無料で使用できます。
1アカウントで複数のサービスを稼働させたり、本番環境とは別に開発環境やテスト環境を用意する場合は、それぞれ異なるゾーンに環境を用意すると、固定IPアドレスの料金が節約できます。
この点で、ゾーンがたくさんあるのはうれしいです。